欧州の盟主ドイツ経済に再度暗雲、景気後退の可能性が報告されています。
ここまでグローバルで進んできた中銀のハト派転換と利下げ、来月のECB(欧州中央銀)理事会に向け、舞台が欧州に移行しつつある印象です。
昨日、欧州時間に入り発表されたユーロ圏7月HICP(消費者物価指数)の改定値は前年比で+1.0%と市場予想を下回り、2016年11月以来の水準まで落ち込み物価上昇の鈍化が鮮明となってきました。
ブンデスバンク(ドイツ連銀)が8月の月報を公開、このなかで「ドイツがQ2(4-6月期)に続きQ3(7-9月期)もマイナス成長となり、リセッション(注)となるリスク」を指摘しています。
(注)景気後退、明確な定義はありませんが、通常、2四半期連続でマイナス成長を記録した場合、リセッション認定となります。
GW明け以降、グローバルで加速した中銀の利下げ、オセアニアではRBA(豪州準備銀)が2度で計50bp(0.50%)、RBNZも2度で同75bp(0.75%)の利下げを実施済みです。
グローバルで進む中銀のハト派、そして利下げの動きですが、ただ、上述の背景から夏の終わりに向けて、舞台は徐々に欧州に移りつつあるように見受けられます。
特にデンマークやスイスは自国の通貨を有しており、実質ECBの金融政策にほぼ追随するような政策をここまで継続してきていることから、欧州でも利下げドミノに至る可能性があります。
昨日の場合、欧州株は大幅続伸、これを受けて始まった米株もほぼ3日続伸とジャクソンホール会合前の調整局面入りとなっていますが、市場ではユーロを手放す動きが静かに進行しています。
EURUSDで1.10を割れて大きくユーロ安が進行、1.05に達するような局面は想定しませんが、この先の金融政策を考慮しますと、引き続き頭の重い展開が予想されます。